ボールを蹴ると股関節の周りが痛い、走ると鼠径部が痛い・・・それは「グロインペイン症候群」かもしれません。

スポーツに携わる方で太ももの付け根や鼠径部に痛みを感じる方は少なくありません。鼠径部周囲の痛みの原因は多岐にわたりますが、今回はその中でもスポーツ障害といわれるグロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)についてお話しします。
グロインペイン症候群とは
グロインペイン症候群とは、スポーツなどよるオーバーユースにより体幹から股関節にかけての筋力や柔軟性が低下した結果、鼠径部周囲の筋肉や腱を損傷した状態です(恥骨結合炎、大腿内転筋付着部炎、大腿直筋炎、腹直筋付着部炎、腸腰筋炎など)。
サッカーによるものが最も多く、陸上競技、ラグビー、ホッケー、チアリーディング、ダンスなどでもよく見られます。
症状
ランニング、キック動作、開脚動作、起き上がりやお腹に力を入れた時などに鼠径部に痛みを感じます。
痛みの感じ方も様々で、不快感、鈍い痛み、鋭い痛みなどがあげられます。また、下腹部や太ももに放散する痛みが現れることもあります。

セルフチェックの方法
アダクタースクイーズテスト

しっかりとタオルを挟めているかチェックし、痛みの有無を確認します。
両脚開脚テスト

写真のように足裏をつけて開脚。この動作での痛みの有無を確認します。
痛みで開脚できない場合、膝と床の距離が3.6cm以上あると陽性です。
股関節抱え込みテスト

写真のように膝を抱え込むようにします。その際に痛みを感じたり、痛みにより抱え込みが出来ない場合は陽性です。
グロインペイン症候群になったら・・・
鼠径部の痛みを感じたら、2週間程度の休息が必要になります。(キック動作やランニングをしない)
治療を開始してから約1~2カ月程度で改善します。
日常生活においても姿勢や動作で痛みが出る場合があるので注意が必要です。
予防するためのストレッチ
予防においてストレッチは非常に効果的です。(痛みがある時はやらない)
股関節周囲の筋肉の柔軟性を確保することが重要になります。
内転筋、ハムストリング、大殿筋、大腿直筋、腸腰筋のストレッチを行ってください。
運動の前後にそれぞれ15~30秒くらいが良いでしょう。
治療
物理療法・・・電気治療(低周波治療器)、超音波治療
手技療法・・・マッサージ、ストレッチ
鍼灸治療・・・必要に応じて行います

グロインペイン症候群は慢性化してしまうと、2~3カ月以上のスポーツ休止が必要になる場合もあります。
出来るだけ早い時期に治療を開始したほうが良いでしょう。
