肉離れ(筋挫傷)・突然起こる足の痛み

肉離れになる方は男性が多く、スポーツによるものが大半を占めます。好発年齢層は10代から20代となっていますが、30代から40代の方も多い印象があります。
肉離れとは?
肉離れとは筋膜や筋線維が損傷、断裂するケガです。
筋肉が伸ばされながら収縮すると、筋力に負けて筋肉の部分断裂を生じることで起こります。
急激なダッシュやジャンプなどを行うスポーツ、重量物などを扱う仕事、筋肉の疲労が蓄積されている状態、筋力が低下している状態、運動前の準備体操不足などが発症のリスクを高くします。
好発部位
1.ハムストリング(太ももの後ろ側)
2.ふくらはぎ
3.大腿四頭筋(太ももの前側)、内転筋(太ももの内側)
上記以外の部位でも、少ないですが肉離れになることがあります。
数年前には前腕(肘から先の部分)の肉離れを治療したことがあります。その方はゴルフで「ダフったら激痛が走った」とおっしゃってました。(「ダフる」とはゴルフボール手前の地面を打つミスショットのこと)
症状
肉離れになった時点で
「プチッという音がした」や「突然力が抜けるような感じ」の後、鋭い痛みが現れます。
その後
〇患部を押すと痛い(圧痛)
〇患部を伸ばすと痛い(ストレッチ痛)
〇安静時痛
〇皮膚の凹みや患部の腫れ
〇翌日以降に患部周辺の内出血斑
などが見られます。
応急処置
PRICE療法・・・肉離れになってから48時間はこのPRICE療法を行う。これにより早期治癒が期待できます。
「保護(Protection)、安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、拳上(Elevation)」
受傷後、実際の順番としては下記1から5の順になると思います。
1.アイシング・・・出来るだけ早く氷嚢や濡らしたタオルなどを使い冷やしてください。(10~30分程度)
2.圧迫・・・包帯やサポーター、タオルなどを使用し、患部を圧迫します。
3.挙上・・・膝を軽く曲げた状態で、クッションやタオル等を使用し、出来るだけ心臓より高い位置に足を持ち上げます。
4.患側に体重を乗せない・・・移動時、痛めた足に体重をかけないよう工夫する。
5.初期は出来るだけ安静にする。
肉離れの分類と復帰までの期間
1型(出血型/軽度)
筋肉内の出血はありますが、筋膜や筋線維には損傷がない状態。自力歩行が可能です。
スポーツ復帰までの期間・・・1~2週間
2型(筋腱移行部損傷型/中等度)
筋腱移行部に損傷がありますが、完全断裂や付着部の裂離はない状態。自力歩行は困難となります。
スポーツ復帰までの期間・・・1~3カ月
3型(筋腱付着部損傷型/重度)
腱の完全断裂、または付着部の裂離がある状態。自力歩行は不可能で、手術の対象になる可能性があります。
スポーツ復帰までの期間・・・3~6カ月
重症度の判定
ストレッチ痛である程度の判定が可能です。
ハムストリング(太ももの後ろ側)
人におこなってもらいます。自分の力でやらないようにして下さい。



軽度・・・70度程度まで上げると痛みが出る。
中等度・・30度~70度程度の間で痛みが出る。
重度・・・0度~30度程度の間で痛みが出る。
大腿四頭筋(太ももの前側)
人におこなってもらいます。自分の力でやらないようにして下さい。



軽度・・・90度程度まで膝を曲げると痛い。
中等度・・45度~90程度まで膝を曲げると痛い。
重度・・・0度~45度程度まで膝を曲げると痛い。
ふくらはぎ



軽度・・・上写真のようにストレッチをしても痛みが少ない。
中等度・・膝を曲げていれば痛みが少ない。
重度・・・膝を曲げても痛みが強い。 立った状態でも座った状態でも、つま先立ちができない。
予防
日頃から予防を意識することでリスクを回避することが可能になります。
〇運動の前後でストレッチを行う。
〇しっかりと睡眠をとる。
〇こまめに水分を補給する
〇タンパク質、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、マグネシウムを意識して摂取する。
治療
肉離れの治療は段階的に行っていきます。
初期の応急処置 → 物理療法 → リハビリテーション(マッサージ、ストレッチ)
初期の段階では、超音波治療、電気治療(高周波)、包帯やサポーターによる圧迫保護を行います。
また、負傷後3日目位からの鍼治療が非常に有効です。
痛みの軽減やストレッチ痛の軽減を確認出来たらマッサージやストレッチを開始していきます。