「肩がはずれた」・・・肩関節脱臼について

肩関節脱臼は関節の脱臼の中では最も多く、脱臼の約半数を占めると言われています。
アメリカのデータに基ずく計算では、年間日本では約3万人が肩を脱臼していると推測されています。
10代~20代の男性と80代の女性に多い事も分かっています。
脱臼時の症状
①激しい痛み・・・脱臼した瞬間から激しい痛みを感じます。
②肩を動かせない・・・上腕がある一定の場所で固定されたようになり、自力で動かす事がほぼ出来なくなります。無理に動かそうとすると激しい痛みを感じます。
③肩の変形・・・肩の丸みがなくなり、肩甲骨の外側(肩峰)の出っ張りが目立つようになります。また、外れた上腕骨が肩の前方などで不自然に盛り上がって見えることもあります。
④肩周囲のしびれや感覚の鈍麻、脱力・・・これは脱臼時に肩周囲の神経(主に腋窩神経)が圧迫されて障害を受けた時におこります。
ほとんどの方が苦痛で表情がゆがんでいたり、顔面蒼白になってご来院されます。また、脱臼した時の状況によっては肩以外の部位の負傷も同時に見られる事があります。
脱臼の原因
一般的に肩関節脱臼は、バンザイした状態(外転+外旋)で手を後ろに引っ張られると発生します。
その他、肩関節に強い力が加わると手を挙げていなくても脱臼することがあります。
レスリング、柔道、ラグビーなどのコンタクトスポーツやスノーボード、自転車での転倒時などに発生します。

脱臼の種類
肩関節脱臼は、肩がどの方向に外れるかによって4つに分類されます。
前方脱臼
肩関節脱臼の中で最も多く、95~97%を占めています。
転倒して手をついたときや、スポーツ中に腕を外側へ強く引っぱられた際に発生しやすい脱臼です。
また反復性脱臼1に移行しやすく、特に20歳以下は半数以上の方が移行します。
後方脱臼
転倒時の強い衝撃や前方からの外力などによって起こることがありますが、発生頻度は低く2~4%です。
下方脱臼
腕を挙上した状態で強い外力が加わった際に起こる脱臼ですが、非常にまれな脱臼で全体の0.5%くらいの発生率です。
上方脱臼
ほとんど発生しないと言われています。
- 初回脱臼時に関節唇や関節包といわれる組織が損傷すると、肩の安定性が低下し、同じ方向へ再び脱臼を繰り返す反復性(習慣性)脱臼へ進行することがあります。 ↩︎
脱臼した時の応急処置
脱臼したかもしれないと思ったら、すぐに応急処置をしましょう。
①肩関節を無理に動かそうとせず、一番楽だと感じる体勢で安静にする。
②痛みと腫れを抑えるために、患部を冷やしましょう。タオルで包んだ氷のうや保冷剤などを、15分を目安に当ててください。氷などがない場合はタオルなどを水で濡らして使用しても効果があります。
③タオルや着ているシャツの裾などを利用して腕を固定しましょう。最も多い前方脱臼では、腕を胸の前に吊るように固定すると楽になります。
禁忌事項:自分で腕を引っ張って戻そうとするのは非常に危険なのでやめましょう。骨折したり、神経や血管、靭帯をさらに傷つける可能性があります。
治療
脱臼したと思ったらすぐに整復してもらいましょう。病院や整骨院で整復してもらえます。
整復が終わったら整形外科にて精査していただき、骨折などがないか確認しましょう。
肩関節脱臼は骨が外れるだけでなく、関節周囲の組織が伸びたり、損傷したり、骨折を伴う場合もあります。骨が元の位置に整復されれば強い痛みは無くなりますが、その後は動かしたときの痛みがしばらくの間続きます。数週間から数カ月の間はリハビリが必要になります。
整復後は電気治療、超音波治療を行います。痛みが緩和してきたら肩関節周囲のマッサージを始めます。それと同時に、肩関節のインナーマッスルトレーニングのやり方をお伝えします。

肩関節脱臼は脱臼後、出来るだけ早期に整復することが重要になります。応急処置をしたらすぐに整復してもらうようにしましょう。
