朝方に指の第2関節が痛く、腫れやこわばりがでる・・・それは「関節リウマチ」かもしれません

こんにちは、青木です。
ずいぶん日も短くなり、冬が駆け足で近づいて来る気配を感じます。今回のブログは、「関節リウマチ」についてお話していきます。身内や知り合い、或いはご自身で悩んでいる方もいらっしゃると思います。そんな関節リウマチについてまとめました、是非ご覧ください。
関節リウマチの概要
以前までは「リウマチ」或いは「慢性関節リウマチ」と言われていましたが、現在の正式名称は「関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)」と呼ぶことが一般的で、自己免疫疾患に分類されます。
自己免疫疾患とは、本来は細菌やウイルスなどから身体を守る免疫システムが、「自分自身の一部の組織を異物と間違えて攻撃してしまう疾患」のことです。男女比は女性が男性の4倍ほど多いと言われています。発症年齢は40~60代が多い傾向にあり、60代以降の発症も報告されています。
症状
主な症状は関節の腫脹(腫れ)や痛み、朝のこわばり(起きてから30分程度で落ち着くことが多い)、倦怠感、微熱など様々です。
発症部位は左右対称に出現する場合もあれば、片側のみや複数の関節(指、手首、膝、足首など)、皮下結節、眼、肺など、関節以外へ症状が広がることもあります。
好発部位は指の第二関節(近位指節間関節、PIP関節)、中手指節関節(MP関節)などが多い傾向にあります。
原因
はっきりとした原因は未だ不明です。ですが、遺伝的要因やストレス、喫煙、細菌、ウイルス感染、出産、歯周病などの環境要因の関与がきっかけやリスクを高める要因となると示唆されています。
自己免疫疾患の為、免疫細胞が関節の組織を攻撃することによって、滑膜に炎症が起こると言われています。
合併症と鑑別診断
合併症
関節リウマチは自己免疫疾患の為、多くの組織や臓器に影響を及ぼします。
いくつかあげますと、呼吸器系疾患(器質化肺炎、間質性肺炎、気管支炎、胸膜炎)や循環器系・免疫系(心膜炎、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、貧血、シェーグレン症候群)などがあります。
中でも、シェーグレン症候群は関節リウマチで確率の高い合併症として知られています。
鑑別診断
指の第一関節(遠位指節間関節、DIP関節)の発症は稀で、この場合は「変形性関節症」を疑います。
他にも多くの類似疾患(全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性疾患、痛風・偽痛風、感染性関節炎など)がある為、詳しい検査が必要となります。
検査方法と診断基準
検査方法
検査法は主に「血液検査」や「画像検査」などが行われます。
〇血液検査・・・血液検査はリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体を調べます。どちらも関節リウマチの多くで陽性になりますが、両者が陰性でも関節リウマチの場合や、陽性でも関節リウマチでない場合もあります。
〇画像検査・・・レントゲン検査や超音波(エコー)検査、MRI検査などがあります。
診断基準
診断基準はいくつかの検査結果を合わせながら判断を行います。また、日本リウマチ学会では、血液検査だけでは診断はせず、痛みや腫れのある関節の数と部位、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体の有無、炎症反応の有無、症状持続期間をスコア化して総合的に判断すると記載されています。
当院での治療
鍼灸治療では、「疼痛と炎症の抑制」と「関節機能の改善」を目的にしています。また、患部への鍼灸治療(局所治療)は、基本的にお灸(直接灸)での治療が主軸になります。
直接灸は、文字通り肌に対して細くした艾(もぐさ)を直接のせて使用することで熱を伝えます。市販のお灸よりも刺激量は強いですが、直接灸の方が即効性もあり効果も期待できます。
※直接灸の場合、「肌質」や「艾の大きさ(刺激量)」によって、治療後に小さな水ぶくれの様な症状が出ることがあります。肌の状態が気になる方は跡が付かない「間接灸」をおすすめしております。

しかし、中には熱に対して苦手意識や不安感がある方もいらっしゃると思いますが、そのような方には直接灸よりも弱刺激の「間接灸」を使用します。
間接灸とは艾(もぐさ)を皮膚に直接のせずに、艾(もぐさ)と皮膚の間に「空間」や「物(灸点紙など)」を挟んで熱を伝えるお灸の方法です。


それでは、患部周囲で使用する経穴(ツボ)を紹介していきます。
「陽渓(ようけい)」「陽池(ようち)」「陽谷(ようこく)」「合谷(ごうこく)」「三間(さんかん)」「八邪(はちじゃ)」などです。指の関節可動域を改善し、抗炎症作用と鎮痛作用が期待できます。

患部以外にも全身を治療する場合もあり、自己免疫機能の調整することで症状の進行を抑えることを目的にしています。
これらの経穴(ツボ)や患部には、ご自身でもお灸(市販の台座灸)が可能です。是非、自宅でも試して治療してみてください。
