手首の痛み・ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
ドケルバン病とは?
スイスの外科医ドケルバン先生が、この病気を初めて報告したことからこの病名がつきました。
ドケルバン病は、親指と手首を繋いでいる2本の腱(短母指伸筋腱、長母指外転筋腱)や、その2本の腱を覆うトンネルのような腱鞘(けんしょう)が炎症を起こしている状態です。
親指の使いすぎにより腱の厚みが増し、腱鞘の内側が狭くなるため中を通る腱の表面が傷つきドケルバン病が起こると考えられています。
ドケルバン病を発症すると、親指を動かしたり(広げたり)、力を入れたりすると、親指側の手首が痛くなったり、親指側の手首あたりが腫れる事があります。
ドケルバン病を発症しやすい方
1.妊娠期、出産期の女性~授乳などで赤ちゃんの頭を支える動作を頻繁にすることで、親指に負担がかかる。また、出産によるホルモンの増加(プロゲステロン)。
2.更年期の女性~閉経に伴うホルモンの減少(エストロゲン)や、家事などによる手の酷使。
3.スマートフォンの操作を片手で行っている方、仕事でパソコンのキーボード操作をよくする方、料理人や美容師など手指を酷使する職業の方。
総じて女性が圧倒的に多いようです。
セルフチェックしてみましょう。簡単です!
1.フィンケルシュタインテスト
痛みを感じる手とは反対側の手で、痛みがある手の親指を小指側に引っ張った時に痛みが強くなるかどうかを確認するためのテストです。
2.アイヒホッフテスト(フィンケルシュタインテスト変法)
親指を他の4本の指で包むことで、じゃんけんのグーの形を作り、そのまま、手首を小指側に曲げ、痛みを感じるかどうかを確認するためのテストです。
また、フィンケルシュタインテスト変法とも呼ばれています。
ドケルバン病の治療方法
今まで当院では多くのドケルバン病になられた方を治療してまいりました。中には、手術の予定が決まっていた方もおられましたが、そのほとんどの方の症状を改善することが出来ました。
1.超音波治療:低出力超音波治療器を使用します。治療中は何も感じることはありません。
2.電気治療:症状に合わせて、高周波、低周波を選択的に行います。
3.電子灸:お灸ですが、電気により温められた灸を使用するのでとても安全です。症状により選択的に行います。
4.私生活での手の使い方や、前腕のストレッチ法などをお伝えします。
ドケルバン病は自然治癒は難しいとされています。痛みや違和感を感じましたら、できるだけ早期に治療開始することをお勧めします。