ニキビ(吹き出物)でお悩みの方へ~美容鍼vol.1

こんにちは、青木です。
日中はまだ汗ばむ暑さですが、朝夕は過ごしやすくなりました。 皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
今回は誰もが一度は経験があるニキビ(吹き出物)についてのお話です。ご自身でお肌の管理をされていると思いますが、原因やメカニズム、ニキビに対して有効な成分などまとめてみました。是非ご覧ください。
ニキビの概要
〇ニキビ(思春期ニキビ)と吹き出物(大人ニキビ)の違い
ニキビと吹き出物は、医学的には同じ皮膚疾患を指しています。疾患名は「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」といい、一般的に思春期(8~18歳程度)や10代にできるものを「ニキビ(思春期ニキビ)」、20代以降にできるものを「吹き出物(大人ニキビ)」と呼び分けていますが、根本的な原因や症状は同じです。
ニキビ(思春期ニキビ)の好発部位は額や鼻(Tゾーン)にできやすく、吹き出物(大人ニキビ)は顎やフェイスライン(Uゾーン)にできることが多い傾向にあります。
ニキビの原因とメカニズム
原因
ニキビと吹き出物の原因は、どちらも「アクネ菌の増殖」や「毛穴の詰まり」、「過剰な皮脂分泌」、が原因で起こることが多いです。他にも「肌のターンオーバー(新陳代謝)の乱れ」、「不適切なスキンケア」「生活習慣の乱れ」など様々です。
ニキビの原因と言えば、アクネ菌によるものとして認識している方が多いですが、アクネ菌は健康状態の肌にも存在している為、適切なスキンケアや睡眠、食生活などの生活習慣を改めることも非常に大切です。
ニキビとアクネ菌の関係
ニキビの進行にはいくつか段階があり、「アクネ菌の増殖」によってニキビの状態が悪化することが多いです。では、アクネ菌はどのような時に増殖しやすいのでしょうか。詳しく説明していきます。
皮脂の過剰分泌
皮脂の過剰分泌は毛穴が詰まることで、アクネ菌が増殖しやすい肌状態を作りやすいです。
ホルモンバランスの変化(男性ホルモンの増加や女性ホルモンの減少など)が皮脂分泌を促す場合や、生活習慣の乱れ(アンバランスな食事、腸内環境、睡眠不足、日常のストレスなど)、スキンケアの誤り、乾燥など多くあげられます。
皮脂の過剰分泌が慢性化すると、ニキビが発生しやすい肌になってしまいます。さらに、額・鼻のTゾーンや顎などがベタつきやすくテカテカしているように見えます。このような皮脂の分泌が過剰な肌質のことを「脂性肌(しせい肌・オイリー肌)」などと呼ぶことがあります。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは「肌の生まれ変わる周期」のことで、皮膚の内側で新しい細胞を作り古い細胞を最終的に垢として肌から剥がれ落ちるといった一連の流れを指します。年齢や体質などの個人差はありますが約28日周期でターンオーバーが行われると言われています。
ターンオーバーの乱れが及ぼす影響は、ニキビ、ニキビ跡、シミ、シワ、くすみ、乾燥、肌のごわつき、毛穴の開きや詰まりなど様々です。
肌のバリア機能の低下
ターンオーバーと肌のバリア機能は深く関係しており、ターンオーバーが乱れている状態は本来の肌のバリア機能よりも低下しているため肌トラブルの原因となりやすいです。他にも、ゴシゴシと擦るような洗顔や過度なピーリング、スクラブなどの強刺激は肌のバリア機能を低下させ悪循環を招く傾向にあります。
ニキビ発生のメカニズム
ニキビ発生のメカニズムは段階的に炎症が進行していきます。そのなかでアクネ菌はどのような影響を及ぼしているでしょうか。
まず、一段回目のほとんどは毛穴が詰まり発生することが多いです。これは前述した通り多くの原因が重なり発生します。
毛穴が詰まった後は毛穴の出口にコメドができます。コメドは皮脂や古い角質から形成され、白く見えるものを「白ニキビ」黒く見えるものを「黒ニキビ」と呼ぶこともあります。
さらに出口をなくし皮脂が毛穴にたまっていき、雑菌や皮脂を栄養としているアクネ菌が毛穴に増殖していきます。
その後、毛穴内部の菌に対抗するため、炎症を引き起こします。このような状態では膿や痛みと伴っていることもあり、「赤ニキビ」「黄ニキビ」とも呼ばれることもあります。

ニキビの種類
ニキビは色で4つの種類があり、初期段階から順に「白」「黒」「赤」「黄」に分かれます。
状態により特徴がことなるので軽く説明していきます。
白ニキビ
皮脂や角質によって毛穴が詰まっている状態です。白ニキビはまだ炎症が起きていない為痛みもほとんどでないことが多いです。
黒ニキビ
白ニキビが進行することで黒ニキビに移行します。この状態では、炎症は起きていなく毛穴が開くことで皮脂が酸化しニキビが黒く見えます。
赤ニキビ
赤ニキビはアクネ菌が増殖し炎症が発生します。その為、ニキビは赤く見え腫れや痛みなどの症状も起こります。
黄ニキビ
赤ニキビがさらに進行し毛穴内に膿が詰まることで強い炎症が起きている状態です。腫れや痛みはもちろん、治った後もニキビ跡が残りやすいです。痛みや腫れが強い場合は触らずに皮膚科への受診をおすすめします。
〇類似の症状
ニキビに類似した皮膚疾患がいくつかあり、間違えることもよくあります。いくつか例として、「おでき(せつ)」、「毛嚢炎(もうのうえん)」、「アトピー性皮膚炎」、「稗粒腫(ひりゅうしゅ)」、「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」、「マラセチア毛包炎」、「口唇ヘルペス」など様々です。なかなか治らない、痛みが長く続く、かゆみや水ぶくれなどニキビにはあまり出現しない症状の場合は早めに皮膚科に受診してください。
〇ニキビ跡について
ニキビを治しても跡が残ってしまい(ニキビ跡)悩む方もいらっしゃると思います。
ニキビ跡とは「ニキビの炎症が原因で肌の組織が損傷し、修復過程で生じる様々な状態」を指します。状態として、色素沈着(炎症後色素沈着)、赤み(炎症後紅斑)、クレーター、ケロイドなどがあります。 ターンオーバーによってニキビ跡が薄くなることもありますが、クリニックでの治療が一般的です。
病院と市販薬の処置と違い
病院での治療
病院では飲み薬と塗り薬での治療が一般的です。主な治療目的は、「毛穴つまりの解消」「アクネ菌増殖の抑制」「ニキビ発生・再発の予防」です。
日本皮膚科学会が策定したニキビ治療のガイドラインでは、「過酸化ベンゾイル」、「アダパレン」、「クリンダマイシン」という成分を強くすすめており、これらの成分を何種類か配合して処方する場合もあります。炎症時はアクネ菌やその他細菌の増殖と感染を防ぐため、飲み薬と塗り薬共に抗生物質の処方が推奨されています。炎症が治まったら再発予防の治療が一般的です。
では、成分についても軽く説明していきます。
・過酸化ベンゾイル
作用は「ニキビの予防」と「アクネ菌の殺菌」です。炎症が起きている赤ニキビにも有効とされ、毛穴の角栓を融解・剥離することで皮脂の詰まりを防ぎます。
・アダパレン
作用は「肌のターンオーバーの促進」と「毛穴詰まりの解消」です。アダパレンはビタミンA誘導体の一種であり、ターンオーバーやシワ、コラーゲン産生促進、ニキビの予防など美容効果に特化した成分として知られています。
注意点として、一般的に妊娠中や妊娠の予定がある方には使用しない医薬品となります。このような可能性がある場合は担当医に相談してください。
・クリンダマイシン
作用は「細菌増殖の阻害」と「炎症の抑制」です。細菌の増殖はタンパク質合成が関与していますが、その過程を阻害することで細菌の増殖を抑えます。また、アクネ菌に作用し炎症を抑制する作用もあります。
これらの成分を何種類か配合して処方する場合もあります。
市販薬で処置を行う場合
病院に行く時間がとれず市販薬を使う方もいらっしゃると思います。市販薬でニキビ治療を行う場合は、ニキビの症状や肌質に合わせて選ぶことが大切です。例えば赤ニキビであれば、炎症が起きているので炎症を抑える成分を含んでいるもの、白ニキビであれば角質を柔らかくする成分を含んでいるものが効果的です。症状が強い場合や敏感肌の方は市販薬だけではなく皮膚科医へ相談することも非常に大切です。
ニキビの状態に合わせて成分を選ぶ
〇白ニキビと黒ニキビに有効と言われている成分
・イオウ
アクネ菌に対して「殺菌効果」があり増殖を抑えてくれます。他にも毛穴に詰まった「角質の軟化作用」がある為、毛穴詰まりを解消します。
※皮脂の分泌を抑え肌表面を乾燥させる為、乾燥肌の方は注意が必要です。
・サリチル酸
ニキビの原因となる「毛穴の角栓や皮脂を溶かす効果」があります。
・レゾルシン
レゾルシンは肌の「角質軟化作用」と「殺菌作用」があります。黄色ニキビのも有効とされています。
〇赤ニキビ(炎症している状態)に有効と言われている成分
・イブプロフェンピコノール
ニキビの赤みや腫れなどの炎症を抑える「抗炎症作用」があります。
・グリチルリチン酸ジカリウム
イブプロフェンピコノール同様に「抗炎症作用」があります。
〇黄ニキビ(膿が存在する状態)に有効と言われている成分
・イソプロピルメチルフェノール
アクネ菌に対しての殺菌作用があり、症状の進行を防ぐ効果があります。
当院での美容鍼治療
〇治療目的
当院でのニキビ治療の目的は「ニキビ炎症の軽減と鎮静化」「ターンオーバーの促進」「血行促進と老廃物の排出」の大きく3つあります。
・ニキビ炎症の軽減と鎮静化
肌に鍼を刺すことで皮膚表面から深部までの血行が促進され、溜まっていた老廃物を排出させる効果もあります。老廃物は炎症の原因になるので、炎症の抑制にもつながります。
・ターンオーバーの促進
鍼による微細な傷を肌に与えることで、ターンオーバーを促します。さらに皮膚内ではコラーゲンやエラスチンの生成を活発的にさせます。
・血行促進と老廃物の排出
鍼刺激を受けた皮膚周囲では毛細血管が拡張され血流量が増加します。それにより、毛穴の詰まりや炎症の原因となる老廃物の排出が期待できます。
〇治療内容
おでこや頬、鼻、顎などニキビが発生する部位は個人差があります。なかにはお顔全体的に出現する方や背中全体に出現する方もいらっしゃると思います。その為、当院ではニキビの部位や出現範囲に合わせて治療を行います。顔面であればその周囲の経穴(ツボ)に鍼を刺し、顔面と背中や腕など広範囲であれば肌質の改善に関与する経穴(ツボ)に治療を行います。
〇顔面部の鍼治療
顔面で使用する経穴(ツボ)は、「迎香(げいこう)」「地倉(ちそう)」「四白(しはく)」「巨髎(こりょう)」「顴髎(けんりょう)」などがあげられます。また、1つのニキビに対して治療を行う場合はニキビを中心に囲うようにして鍼を打っていきます。


〇広範囲の鍼治療
肌質などの体質改善を目的とした治療では、肘や手、足などにも鍼を打ち治療を行います。使用する経穴(ツボ)は「合谷(ごうこく)」「曲池(きょくち)」「足三里(あしさんり)」「大陵(だいりょう)」などを使用します。


ニキビは繰り返すことで肌も弱くなり、跡になることも少なくありません。お一人で悩まず当院にご相談ください。