「手首の小指側が痛い」それは、尺側手根伸筋腱炎(腱鞘炎)かもしれません。

3年ほど前、パソコン作業中に私も尺側手根伸筋腱炎(しゃくそくしゅこんしんきんけんえん)になりました。突然痛みだし、手首や小指の動きに連動して痛みが走りました。
私の場合は軽症だったので数日で治りましたが、重症化すると、手首を動かさないように固定が必要になったり、手術に至るケースもある腱鞘炎です。また、以前ブログで紹介したTFCC損傷と痛む場所が似ており、間違われる事もある症状です。今回はその尺側手根伸筋腱炎についてお話しします。
どこが、どういう時に痛む?
手首の小指側に「ぽこっ」と丸みを帯びた骨の出っ張り部分が分かりますか?その部分を尺骨茎状突起(しゃっこつけいじょうとっき)というのですが、その周囲に痛みを感じます。

痛みが出る動き
〇手首を甲側へ反らせた時
〇手首を小指側に曲げた時
〇手首を外側に回転させた時
〇小指を反らせた時
〇手のひらを上に向けた状態で物を持った時 など
尺側手根伸筋腱とは何ですか?
尺側手根伸筋腱は、手首を甲側へ反らせたり、小指側へ曲げる作用がある腱です。
手関節の尺側(小指側)に2つの腱鞘(けんしょう)があり、最も尺側にあるのが尺側手根伸筋腱鞘といい、その中を尺側手根伸筋腱が滑走しています。また、尺側手根伸筋腱鞘は、伸筋支帯と下層腱鞘の二重構造になっています。

この腱は、前腕の動きに応じて位置関係が変化する構造になっており、手のひらを下に向けた状態(回内)ではまっすぐですが、手のひらを上に向けると(回外)、腱の走行が約30度傾きます。

このような仕組みから、手首を回す動作(特に回外)や、重量物を持ち上げる動作が頻繁に行われると、この部分に加わるストレスが大きくなります。やがて繰り返しの動作で摩擦により、炎症が起こるわけです。
スポーツや仕事により発症する事が多く、特にスポーツではゴルフやテニス、野球でよく見られます。
重症例では、下層腱鞘が断裂し、腱が脱臼することもあります。
治るまでの期間は?
症状が軽度の場合は1~2週間でほぼ改善します。
痛みが強く、運動制限がある場合は、サポーターなどで固定して1~2カ月でほぼ改善します。(固定期間の目安は1カ月)
自分でわかるテスト法
合掌回外テスト


①→②で手関節の小指側に痛みが出たら陽性です。
治療
物理療法・・・低出力超音波治療、電気治療(低周波治療器)
灸・・・電子灸(炎症期を除く)
テーピングやサポーターの使用をご提案する場合もあります。

痛み始めてから早い時期に治療を開始すると、短期間で改善する方が多く見られます。逆に痛みを我慢して繰り返し手首に負担をかけ続けた結果、重症化して長期に渡り治療が必要な方もいらっしゃいます。
手首尺側に痛みを感じましたら、早期治療開始がお勧めです。