10歳~15歳に多い膝の痛み「オスグッド・シュラッター病」その対処法は?
![膝の痛み](https://aozora-1.net/aozora-1/wp-content/uploads/2025/01/1195600_m-1024x683.jpg)
オスグッド・シュラッター病は当院のホームページ「痛みの部位」でも取り上げていますが、小学校高学年から高校生までの発育期に多く見られます。男子が多いのですが、女子に見られる事もあります。
スポーツをやっている子であれば、それ程めずらしい病気ではありませんが、中には重症化しスポーツを一定期間完全に休まなければならない事もあるため、初期段階での対処が重要になります。
発生の原因とメカニズム
太ももの前側の筋肉 (大腿四頭筋)は、膝の皿(膝蓋骨)を経由してすねの上部にある脛骨粗面に付着しています。膝を伸ばす際にはこの脛骨粗面に牽引力が働きます。スポーツなどで繰り返し脛骨粗面を引っ張る力が加わると、脛骨粗面の成長線に過剰な負荷がかかり、成長軟骨部が炎症を起こしたり剥離することで発症します。
![オスグッド イラスト](https://aozora-1.net/aozora-1/wp-content/uploads/2025/01/23148825-1024x853.png)
スポーツ全般において発症リスクはありますが、特に発症しやすいスポーツは、サッカー、バスケットボール、バレーボールなど、ジャンプやボールを蹴る動作の多い競技ではリスクが高まります。
症状
初期では正座など膝を深く曲げたり、膝を床などに付けるとお皿の下が痛くなります。
その後、膝のお皿の少し下の骨が突き出てきます。またその部分に熱を持ったり、皮膚が赤くなったりします。
その頃には、スポーツを行うと痛みが現れ、休むと緩和するという状態を繰り返すようになります。
片方に発症する場合と両膝に発症する場合があります。
セルフケア
ストレッチ・・・太ももの前の筋肉と後ろの筋肉の柔軟性が大きく関与するため、スポーツの前後にはストレッチを行いましょう。
アイシング・・・痛みを感じたら、氷嚢などで冷やすと効果的です。
テーピング・・・数種類のやり方がありますが、スポーツ時に行うと効果的です。
サポーター・・・バンド状のオスグッド用サポーターも効果があります。
休息・・・痛みが強いときは足を使うトレーニング等は避けて刺激を入れないようにします。上半身のトレーニングは構いません。
治療
①電気治療・・・太ももの前と膝関節周囲に低周波治療器を使用します。
②超音波治療・・・脛骨(すねの骨)上部に低出力超音波治療を行います。
③下肢圧迫治療器・・・足を空気で圧迫し、血流促進、マッサージ効果が得られる機器を使用します。
下肢の緊張が強い場合に行います。
④マッサージ・・・足全体のマッサージを行い、下肢の柔軟性を取り戻します。
⑤テーピング・・・テーピングの方法を指導させていただきます。
オスグッド・シュラッター病は早期に治療開始することで悪化防止にもつながります。
痛みの改善には個人差があり、3~6カ月で改善する子もいれば、1年近くかかる子もいます。
その間もスポーツを継続する子がほとんどですので、テーピングやバンドを使用し、定期的にケアを継続することをお勧め致します。