スネが痛い!それは「シンスプリント」=「脛骨過労性骨膜炎」かもしれません
シンスプリントって何?
シンスプリント(=脛骨過労性骨膜炎、脛骨内側ストレス症候群)とは、下腿(膝から下)内側に位置する脛骨(スネ)の下方1/3に痛みが発生することを特徴とする病態で、痛みが脛骨に沿ってうずくような鈍痛や圧痛が見られます。
シンスプリントはオーバーユース症(使いすぎ症候群)のひとつで、高頻度で運動をしている人がなりやすく、ランニングや繰り返しのジャンプなど(マラソン、サッカー、バスケットボール、テニス、バレーボール)の下肢を酷使するスポーツで起こりやすくなります。
その他のリスク因子としては
①扁平足や回内足
②下肢の筋力低下や柔軟性の低下
③合わない靴を履いている(サイズ、土ふまずの形状、クッションの硬さ)
④コンクリートなど、硬い路面でのランニングまたは練習
⑤体重の増加
などが挙げられます。
症状発生のメカニズム
ふくらはぎを構成する筋肉の一部である下腿三頭筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋は、脛骨に付着しています。この筋肉が骨膜(骨を覆う膜)を繰り返し強い筋力で牽引すると、骨膜炎(骨膜の微細損傷)を引き起こし、下腿内側の痛みを発生させます。
シンスプリントの症状
主な症状として、脛骨内側(スネの内側)下1/3に運動時痛や圧痛(押すと痛い)が見られます。また、症状の程度による分類があります。
stage1:運動時のみ痛みがある
stage2:運動前後に痛みはあるが、パフォーマンスに支障はない
stage3:運動前中後に痛みが生じ、パフォーマンスに支障をきたす
stage4:慢性的な絶え間ない痛み。痛みが強く運動は不可能
stage3以上では運動を中止したほうが良いでしょう。
セルフケア
①ふくらはぎのストレッチ・・・立った状態で足を前後に開き体重を前方に移動します。この際、痛みのある足が後ろに来るようにします。また、後ろの足の膝を伸ばした状態と軽く曲げた状態の2種類で行ってください。時間は15秒ほどで2~3回行います。(運動の前後が効果的です)
②ふくらはぎ(特に内側のスネに近い方)のセルフマッサージ
③足裏のセルフマッサージ
④タオルギャザー・・・タオルの上に足部を置きます。次に足の指を曲げ、タオルをたぐり寄せます。
これは長母趾屈筋の滑走性を改善させます。
⑤アイシング・・・運動後に痛みが出た場合は、アイシングが効果的です。
疲労骨折との違いは?
疼痛誘発検査・・・手の指で痛いところを押してみます。シンスプリントの場合は縦方向に5~10cm程度と比較的広範囲に痛みを感じますが、疲労骨折の場合は5cm以下の範囲でピンポイントの痛みがあり、片方のみに発症するケースがほとんどです。
鑑別診断には整形外科でMRIによる画像検査が必要です。
治療
①電気治療(低周波治療器または中周波治療器)
②超音波治療(低出力超音波)
③マッサージ
④テーピング(必要に応じて行います)
シンスプリントになり痛みを感じたら、まずは足を休ませてあげることが重要です。
運動量を減らすなどの調整をしましょう。初期の段階であれば、2週間程度で回復します。
重症化すると、スポーツ復帰まで2~3か月を要する場合もあります。
スネに痛みを感じたら放置せず、早めの治療をおすすめいたします。