「膝のお皿の下が痛い！」それは膝蓋腱炎（ジャンパー膝）かもしれません。
膝蓋腱炎は２０歳以下の活発にスポーツをやっている方に多くみられる症状ですが、つい先日５０代の私が膝蓋腱炎になってしまいました。スクワットが原因でした。膝の屈伸時や階段を下る際に強めの痛みを感じました。すぐにスクワットをやめたので短期間で治りました。
今回はその膝蓋腱炎（ジャンパー膝）についてお話し致します。
膝蓋腱炎とは
膝蓋腱炎とは、スポーツ時のジャンプや着地、ダッシュやストップなど、急激な動作を繰り返すことによって、膝蓋腱に炎症が発生するスポーツ障害です。男性に多いのが特徴で、中学～高校にかけて発症する事が多い傾向にあります。また、膝蓋骨（膝のお皿）の上が痛くなることもあり、これを膝蓋大腿靱帯炎（しつがいだいたいじんたいえん）といい、ひとくくりにジャンパー膝と呼びます。
スポーツ以外でも、膝の屈伸動作が多い職業や、登山などでも発症します。
膝蓋腱炎がみられるスポーツ・・・バレーボール、バスケットボール、サッカー、陸上、野球など
好発年齢・・・１２歳～２０歳（10代の男性が多い）
原因
膝蓋腱炎は、ジャンプや着地の繰り返しによって膝蓋腱に過度な負荷がかかることで発生します。
膝を伸ばすとき、太ももの前側にある大腿四頭筋（だいたいしとうきん）が縮み、その結果生じた牽引力が大腿四頭筋とつながる膝蓋腱に膝蓋骨を経由して伝わります。
膝の屈伸動作やジャンプを過度に繰り返していると、膝蓋腱が大腿四頭筋の引っ張る力に耐えきれず、炎症が生じたり部分的に損傷したりします。
その他、大腿四頭筋（太もも前の筋肉）とハムストリングス（太もも後ろの筋肉）の筋力に大きな差があると、膝蓋腱に大きなストレスを与えることが判明しています。
もともと大腿四頭筋の筋力の方が強いのですが、この強さが著しい場合で、ハムストリングスが極端に弱い状態だと、発症リスクが50％以上高くなるとされています。
症状
初期段階では・・・膝蓋骨のすぐ下（または上）に、特定の動作時に痛みを感じます。また、押すと圧痛がある場合もあります。
進行してくると・・・運動全般で痛みを感じたり、歩行時や屈伸時に痛みを感じてきます。
膝蓋腱炎には分類があります。
Blazinaの分類
・グレード1：運動後のみ痛みがある
・グレード2：運動中に痛みがあるが、パフォーマンスに影響はない
・グレード3：運動中に痛みがあり、パフォーマンスに影響がある
・グレード4：腱の完全断裂
グレード2でスポーツの制限、3でスポーツの休止が必要
Roelsの分類
Blazinaの分類をさらに5段階に分けています。
・ステージ1：運動後の痛み
・ステージ2：ウォームアップ時の痛み（運動中は痛みなし）
・ステージ3：運動中と運動後の痛み
・ステージ4：運動中のパフォーマンス低下を伴う痛み
・ステージ5：日常生活での痛み
ステージ3でスポーツの制限、4でスポーツの休止が必要
予防
ストレッチ
筋肉の柔軟性が向上し、血流も促進され、発症リスクを軽減します。各部位15秒間行うようにしてください。（運動の前後におこなう）
①大腿四頭筋（太もも前の筋肉）②ハムストリングス（太もも後ろの筋肉）③ふくらはぎ④腸腰筋
各ストレッチを１５秒保持してください
筋力強化
筋力のバランス（適切な筋力比）が非常に重要です。特定の筋肉だけをトレーニングするのではなく、まんべんなく行いましょう。
①大腿四頭筋②ハムストリングス③内転筋④ふくらはぎ⑤殿筋（おしり）⑥体幹
各トレーニング、出来る範囲で行ってください
その他
〇各スポーツでの正しいフォームの習得
〇クッション性のある靴の選択
〇テーピングや装具の使用
治療
物理療法
超音波治療、電気治療（低周波）
手技療法
下肢のマッサージ、ストレッチ
その他
テーピングの方法をお伝えします。
練習や試合前にお越しの場合は、即時テーピングを行います。
症状に合わせて、サポーター等の装具をご提案する場合もあります。
膝蓋腱炎は痛みや違和感を感じた時点で、運動量やトレーニング強度をすぐに調整することで早期に回復することがあります。しかし、その調整が困難な場合もあり、悪化していく事も多く見られます。
競技を続けながら直してゆく場合は早めの治療開始が望ましいと思います。
