「熱中症」にも効果がある鍼治療。その内容とは。 - あおぞら整骨院・鍼灸院

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「熱中症」にも効果がある鍼治療。その内容とは。

#日常生活#鍼灸

こんにちは、青木です。
いよいよ夏本番を迎え、燃えるように暑い日が続きますが、皆様におかれましてはお変わりなくお過ごしでしょうか。
この時期は熱中症についてのニュースを毎日のように目にします。ご自身を含め、周りの方々が「熱中症になったことがある」なんてことも少なくないと思います。

現在の日本では熱中症は非常に身近で誰もが発症する可能性がある疾患です。地球温暖化により、年々気温が上がり続けています。その様な中でエアコンを節約し部屋の気温が上がることで熱中症が発症するケース(住宅での発症が4割程度を占める)が極めて多いです。次いで道路、公衆(屋外)、職場(工事現場、工場など)が多いです。

なりやすい季節や時間帯は7月や8月など日差しが強く気温が高い時期に多く、特に1日のうち午後2時~5時に発生しやすい傾向があります。また、高齢者や乳幼児は体温調節機能の低下や未熟さから、熱中症になりやすいと言われています。

実際に令和2年から6年で熱中症により救急搬送された割合は、高齢者(満 65 歳以上)が最も多く57.4%、次いで成人(満 18 歳 以上満 65 歳未満)が33.0%、少年(満7歳以上満 18 歳未満)が9.0%、乳幼児(生後 28 日以上満7歳未満)が0.6%の順と総務省が発表しています。

このように、熱中症は身近な疾患であり幅広い年齢層が罹患する可能性があります。
このブログでは熱中症の症状や治療などについて詳しく解説していきます。もし周りの人たちが熱中症の危険が訪れた時、誤った応急処置をしないようにこのブログを読んでいただければ幸いです。

熱中症の症状と分類

症状

熱中症の症状は、めまい立ちくらみ大量の発汗筋肉の痙攣(けいれん)などの症状があります。初期症状は、顔のほてりや不快感、倦怠感など、気づきにくいことが多いです。

分類

Ⅰ度(軽症)
主な症状は、立ちくらみやめまい、筋肉痛、脱水症状など。現場で水分・塩分を補給し、涼しい場所で安静にすることで回復するケースが多いです。

Ⅱ度(中等症)
主な症状は、頭痛や吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感など。意識がはっきりしている場合や、自分で水分・塩分を摂れる場合は、医療機関を受診する必要があります。

Ⅲ度(重症)
主な症状は、意識障害や痙攣(けいれん)、手足の運動障害、40℃以上の高熱などがあります。救急搬送が必要で、入院して集中治療が必要な場合もあり後遺症が残ることもあります。

〇後遺症について

後遺症は、中枢神経障害による高次機能障害や、小脳障害、パーキンソン症候群など、様々な症状が残る可能性があります。重症例では、脳に障害が残り、記憶力低下や意欲低下、身体のコントロール障害などが残ることがあります。また、肝臓、腎臓、心臓、肺など様々な臓器にも障害が残る場合があります。

熱中症のメカニズム

熱中症は、体温調節機能が正常に働かなくなり、体温が上昇することで起こる病気です。
熱中症のメカニズムは以下の順で発生します。

1. 体温調節機能の低下

正常であれば、暑い環境や運動によって体内で熱が生成されると、体は体温を下げようとします。具体的には、汗をかき、皮膚の血管を拡張し、体表から熱を放射するなどの方法で熱を逃がし体温をコントロールしています。
しかし、気温や湿度が高い場合や、長時間運動を続けるなど、体から熱を放散しにくい状況が続くと、体温調節機能がうまく働かなくなり体温の調節が難しくなります。

2. 熱の放散の不十分

体温調節機能が低下すると、体内から体外に熱を放出できなくなり体の中に熱がこもります。

3. 体温の上昇

体内に熱がこもると、体温が上昇します。体温が正常範囲を超えて上昇すると、熱中症の症状が現れます。

4. 熱中症の症状

体温が上昇すると、めまい、頭痛、吐き気、筋肉痛、筋肉のけいれん、意識障害など様々な症状が出ます。重症化すると、昏睡状態や亡くなることもあります。

熱中症の疑いがある場合の対処法

1.全身の冷却

氷枕や氷嚢(ひょうのう)、冷却スプレー、冷却タオルなどを用いて、首、脇の下、足の付け根などの太い血管がある部位を冷却し、体温を下げる。

扇風機で身体に風を送り、涼しい場所で体を冷やす。

2.水分・電解質の補給

水分、電解質(ナトリウムやカリウムなど)を補給し、脱水症状を改善する。ここで気を付けることは「水だけを摂取することは非常に危険」です。熱中症時は体内の水分と電解質量が低下している状態なので、この状況で水だけを摂取すると体内の電解質濃度が低下し水分を吸収しにくくなる事で、熱中症を悪化させてしまいます。意識があり吐き気や嘔吐感がない場合は経口補水液やスポーツ飲料を摂取します。

3.重症の場合

・症状が改善しない場合や、悪化する場合は、自己判断は避けてすぐに病院を受診してください。

・重症度によっては入院が必要になる場合があり、症状の程度によって治療を行います。病院を受診する際は、症状を正確に伝え、必要な検査や治療を受けましょう。

〇病院での診断と治療

病院での熱中症の処置は、主に「全身の冷却」と「水分・電解質の補給」が中心です。氷のうや氷枕での冷却療法、点滴による水分補給なども行われます。重症の場合は、入院が必要になる場合もあります。

当院での鍼灸治療

鍼灸治療の対象は「軽症度から中症度になりやすい方」「熱中症後の後遺症治療」になります。後遺症はフワフワとしためまい、頭痛、疲労感、発熱、のぼせ感などです。

目的は、症状の緩和や予防、後遺症の対応になります。鍼灸治療では、体温調節を促したり、血行を改善したりすることで、熱中症の症状を軽減させたり、再発を防ぐ効果が期待できます。

使用する経穴(ツボ)は、症状によって異なります。

体内に熱がこもり体外に熱を放出できない状態では、「陽谷(ようこく)」、「前谷(ぜんこく)」「復溜(ふくりゅう)」、「通里(つうり)」など体温調節機能を助けるように促します。

また、多い症状として炎天下での作業や運動で「フワフワとしためまい」がすぐ出てしまい倒れそうに感じる方やふらつきを感じる方もいます。このような症状の原因は血流が悪く、脳への酸素供給が足りないことで短時間でも貧血状態になります。治療は全身の血液循環の改善で、胃や腸の血流改善にもアプローチしていきます。使用する経穴(ツボ)は、「中脘(ちゅうかん)」、「天枢(てんすう)」、「湧泉(ゆうせん)」、「血海(けっかい)」「足三里(あしさんり)」、「大腸兪(だいちょうゆ)」などです。

・気を付けること

熱中症の応急処置におけるよくある間違いは、「無理に解熱剤や水分を飲ませる」、「塩分を含まない飲み物を飲ませる」、などです。意識がない場合や意識があいまいの時、嘔吐がある場合は、無理に水分を飲ませると気管に入ってしまう危険性があり非常に危険です。適切な応急処置は、涼しい場所に移動し、電解質を含んだ水分(経口補水液)を補給し、身体の太い血管部に氷嚢などを当てて冷やすことが大切です。

応急処置後も症状が改善しない場合は、速やかに病院を受診してください。

この記事の著者

青木孟跳

柔道整復師・鍼灸師

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