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肩の痛み

四十肩、五十肩(肩関節周囲炎)・・・痛くて動かせない!

五十肩(四十肩)の正式名称は「肩関節周囲炎」と言います。
この病気は40代から60代の間で発症する事が多いため、このように呼ばれています。
勿論例外もあり、30代後半で発症する方や70代で発症する方も中にはいらっしゃいます。

肩の関節には関節包と呼ばれる袋のようなものがありますが、この関節包に炎症が起きて痛みが出ます。また炎症によって袋が固くなり、さらに厚みが増してきて(肥厚)肩が動かしにくくなってきます。これが五十肩です。

現在のところ明確な原因は分かっていません。いくつかの説はありますが、原因不明とされています。
また、糖尿病や甲状腺疾患がある方は発症する確率が高いとされています。

肩が痛み始めてからの時期により症状が変化してゆくのが一般的です。しかしこの変化する時期や期間には非常に個人差があります。

痛み始めてからの期間が、2~9カ月間の時期

この期間の特徴としては
①運動時痛・・・肩を動かすと痛む
②安静時痛・・・じっとしていてもズキズキ痛む
③夜間痛・・・夜になると、あるいは眠っている時の寝返りなどで痛む

などが特徴として見られ、痛みが強く日常生活に大きく影響を与える時期です。

痛み始めてからの期間が、4~12カ月間の時期

この期間は痛みの程度は少し軽減しますが、肩関節の可動域制限(肩の動きの制限)がしっかりと残存し、日常生活において影響が残る時期です。
例えば、シャワー時に痛む方の手を使って逆側の脇や肩が洗えない、振り向かないと背後にある荷物が取れない、シャツを着るときに痛む方から袖を通さないとうまく着れない、などなど例を挙げればきりがないほどです。

痛み始めてからの期間が、6~36カ月間の時期

徐々に痛みが緩和し、肩の可動域も少しずつ回復してきます。

五十肩はセルフケアが重要です。しかし、自分がどの時期なのかを把握した上で行うことがポイントです。
そのためには整形外科の診断なども必要になってきます。もちろん当院でも肩の可動域、痛みの程度、傷み始めてからの期間や既往症などから判断し、セルフケアを始める時期や内容についてはお伝え致します。

この時期は肩に負担をかけると痛みが強くなることもありますので、あまり動かさないほうが良いでしょう。ただ、痛みには個人差があります。「少し動かしただけで痛い」、「じっとしていても痛みを感じる」このような場合は肩を安静にしますが、「腕を前方に上げるのは痛くないが、横に上げるのは痛い」、「特定の角度になる時だけ痛みが強くなる」このような時は痛みが出ない範囲で動かすのは良いでしょう。

両肩が五十肩になることはありますか?・・・はい。ほぼ同時になる方も、時期がずれてなる方もいらっしゃいます。

同じ肩(同側)が2回なることはありますか?・・・稀にあります。実は私の左肩が、現在2回目の五十肩です。1度治って、6年後に2回目になりました。現在回復期なのでセルフエクササイズを頑張っています。

この病気は治りますか?・・・はい。治るまでの期間は個人差があり数年かかる場合もありますが、ゆっくりと時間をかけて回復していきます。その間はセルフエクササイズを続けましょう。

ここでは肩に関するいくつかの症状と五十肩の関連性を見ていきましょう。

①肩こり・・・広義では五十肩の前駆症状と言われる場合もあります。40歳以降で突然肩こりを感じるようになった場合は注意が必要かもしれませんね。

②石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)・・・肩の安定性に必要な筋肉の腱の集まりである腱板と言われる部位に、カルシウムの結晶である石灰が溜まる病態です。はっきりとした原因は分からない疾患ですが、多くは短期間で軽快します。その他「石灰沈着性腱炎」などもあり、五十肩の一種とも言われています。

③上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)・・・肩の関節を構成する重要な部位の一つである上腕二頭筋の長頭腱に炎症が生じる状態です。いわゆる上腕の「ちからこぶ」の上の方で、肩の前側が痛む病気です。
五十肩とは区別される事が多い病気です。

④腱板疎部炎(けんばんそぶえん)・・・腱板疎部とは肩関節の一部ですが、五十肩の多くの方はこの部分にも炎症が起きていますので、関連性は極めて深いと言えます。

⑤癒着性肩関節包炎(ゆちゃくせいかたかんせつほうえん)=凍結肩(とうけつかた)・・・これは五十肩が長期間続き、可動域が非常に狭い状態の事を示す場合と、可動域制限を伴う五十肩そのものを示す場合があります。
五十肩=肩関節周囲炎=癒着性肩関節包炎=凍結肩という感じです。

「五十肩はほっとけば治る」と思われている方が多いのですが、実際にはほっておくと痛みに長期間悩まされたり、肩の動かしづらさが残ってしまったりする場合があります。そのため、早めに適切なリハビリテーションを行うことで痛い期間を短くできたり、動きの制限が残らないようにしたりすることができます。

①電気治療:低周波治療と中周波治療(立体動態波)の2種類を使います。

②超音波治療:肩関節周囲に超音波を当てていきます。

③手技療法:肩甲骨周囲のマッサージを行います。肩関節のマッサージは炎症期には行いません。

④運動療法、ストレッチ:炎症期を除いた時期で、可能な範囲で行います。

⑤鍼治療:ご本人と相談の上行います。

約17年ほど前、私が東京で接骨院に勤務していた頃のお話です。
ある日いつも通り出勤し、新規の患者様がいらしたので問診をしたところ、その方は肩関節周囲炎でした。ところがよくお話を伺うと、7年間ものあいだ「肩が痛くて動かせない」状態を我慢して生活されていたようで、病院にも接骨院にもかかった事はないとの事でした。
「ほっとくとこれ程まで長期に渡り症状が続くこともあるのか」と驚くとともに学びのある経験でした。

「肩が痛い」、「動きが悪くなってきた」など違和感を感じましたら早期のリハビリ開始をお勧め致します。

この記事の著者

北城 雷太

あおぞら整骨院・鍼灸院院長
柔道整復師

あおぞら整骨院・鍼灸院を開院する前は、東京の整骨院にて分院長を務めさせていただいておりました。その後三島にて開院し15年目を迎えております。この間、様々な経験をさせていただき、また現在の治療にこの経験を生かすべく、日々精進しております。
この15年間で世界は驚くほどに大きく変化してまいりました。同じように、健康に対する考え方、医療の分野でも大きな変化(進化)がみられます。我々治療家も、日々多くのことを学び成長しなければなりません。進化してこそ、患者様の痛みを効率よく取り除けると私は信じています。

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