肘の内側が痛い!ボールが投げられない。それは「肘内側側副靭帯損傷」かもしれません。

肘内側側副靭帯損傷(肘MCL損傷)は、小学生から大学生までのスポーツをやっている子たちに多くみられる疾患です。仕事や家事などで痛める大人の方もいます。今回は、肘の内側が痛むこの症状について詳しく見ていきましょう。
肘内側側副靭帯はどんなもの?
肘内側側副靭帯(ひじないそくそくふくじんたい)は、肘関節の内側にある3つの部位から構成される靱帯で、肘の安定性を保つ重要な靭帯です。
主に肘が外側に開きすぎることを防いでくれる役割があります。

肘内側側副靭帯損傷はどうやって起こる?
スポーツや仕事などにより、靱帯がひねられたり、強く引き伸ばされた時に損傷します。
内側にある靱帯なので、肘に強い外反力が加わると引き伸ばされます。

肘内側側副靭帯損傷は急性外傷型と慢性障害型の2つに分類されます。
急性外傷型
突発的な事故(ケガ)やスポーツ中のケガによる損傷。
〇転倒時に肘を伸ばした状態で手をつき、肘に外反力が加わる。
〇ラグビーやアメフト、柔道のようなコンタクトスポーツで肘の外反が強制された場合。
〇脱臼によるもの。
慢性障害型
野球の投球やテニスのフォアハンドのように、繰り返される肘への外反ストレスにより、徐々に靭帯への負担が蓄積され、損傷・炎症を引き起こすもの。
オーバーユース(使い過ぎ)によるものが着目されやすいのですが、その競技に合った正しいフォームが実行できていない場合もリスク因子となります。
肘内側側副靭帯損傷が見られる主な競技
〇野球、ソフトボール
〇テニス
〇バドミントン
〇バレーボール
〇ゴルフ
症状
急性外傷型と慢性障害型では症状に違う部分が見られます。
急性外傷型
〇受傷時の強い痛み
〇肘関節の著しい不安定性の発生
〇腫れ及び内出血
〇肘の可動域制限(動かせる範囲が狭くなる)
慢性障害型
〇肘内側の慢性的な痛み
〇腫れ
〇肘関節の不安定性
〇肘の可動域低下
慢性障害型を具体的に言うと、野球では投球時の痛み意外に、球速の低下やコントロール力の低下などが見られます。
治療
物理療法・・・電気治療を症状に合わせて選択(低周波、中周波)、超音波治療
手技療法・・・前腕、肩甲骨周囲のマッサージ
ストレッチ・・・ご自宅でも行えるストレッチ法をお伝えします。
テーピング・・・必要に応じて使用します。
予防・・・手首や前腕のトレーニング法をお伝えします。
急性外傷型の場合は、シーネ等で固定する場合があります。

肘内側側副靭帯損傷の慢性障害型は、徐々に症状が進行し、悪化していく事があります。肘の内側に違和感や痛みを感じたら、出来るだけ早期の治療開始をお勧め致します。