おしりが痛い!足までしびれる!それは「梨状筋症候群(圧迫性坐骨神経障害)」かもしれません。

梨状筋とはどんな筋肉?
梨状筋はおしりの奥深くにある筋肉で、股関節の後ろ側を覆うようについています。
また、仙骨と大腿骨に付着しており、股関節の外旋(太ももを外側にねじる)や外転(太ももを外側に開く)の作用があります。
坐骨神経はこの梨状筋の下を通り太ももの裏側へと伸びていきます。(一部の人では坐骨神経が梨状筋を貫通していることもあります)

症状は?
梨状筋症候群の症状は、おしりから足の後面の痛みと痺れです。
足の後面→太ももの裏、ふくらはぎ(すねの外側も含む)、足底、足背、指先
痛みの感じ方には個人差があります。「おしりがピリピリする」、「太ももの裏が突っ張る感じがする」、「おしりに鋭い痛みがあり座れない」などです。
症状が出るタイミングは、「座っている時」、「階段の上り下り」、「ランニングや歩行時」などに多く見られます。
主な原因は?
梨状筋症候群での痛みや痺れは、梨状筋により坐骨神経が圧迫されることによりおこります。
では、どのような時に圧迫されるのでしょうか。
①長時間の座位・・・車の運転やデスクワークなどで長時間座っていると、梨状筋への血流が圧迫により阻害され、筋緊張がおこり筋肉が硬くなります。
②運動不足や過度の運動・・・運動不足では、下半身の筋力が低下することにより、梨状筋への負担が増加してしまいます。その結果筋肉が硬くなります。一方で、過度の運動で梨状筋が酷使されると、筋肉が炎症を起こし、筋肉が硬くなってしまいます。
③その他・・・変形性股関節症や臼蓋形成不全、足の長さが左右で違う場合(筋肉の緊張などによる骨盤のゆがみ)、反り腰などもリスク因子となります。
効果的なストレッチのご紹介
梨状筋症候群は梨状筋の硬さが大きな原因となるため、梨状筋のストレッチは非常に有効です。
A梨状筋ストレッチ(写真は左の梨状筋)


①→②の順に行い、20~30秒キープ
1日3回行う。
B梨状筋ストレッチ(写真は左の梨状筋)


①横になり膝を直角に曲げ、足を密着させます。→②ゆっくりと膝だけ開きます。
→ゆっくりと①に戻します。
10回1セット×3セットを1日3回行う。
ストレッチの他、おしりの筋肉のトレーニングも有効ですので無理のない範囲でやってみてください。
治療
梨状筋症候群は2週間から2ヶ月くらいの間でほとんどの方が改善します。
手技療法:梨状筋を直接指圧したり、周囲の筋肉をほぐしていきます。
運動療法:梨状筋の自動抵抗運動(自分で動かす方向と反対方向に力を加え、負荷をかけて行う運動)を行います。
物理療法:電気治療、超音波治療
鍼治療:痛みが強く、歩行や座位が困難な方には鍼治療をお勧めしております。

梨状筋症候群は進行してくると、鋭い痛みや痺れに悩まされることが多くなります。
でもご安心ください。適切な治療をすることにより、症状は改善します。