子供の「かかとが痛い!」は、セーバー病かもしれません。

私は小学生の時、少年野球をやっていました。4年生になってから、両足のかかとが痛くなり、走るのがつらい時期がありました。その当時、同じようにかかとが痛む友達が数人いたことを覚えています。
痛みは1年くらい続いたような記憶があります。今回は子供特有の痛みである「かかとの痛み」についてお話をします。
10歳前後に多く見られるセーバー病とは?
セーバー病(シーバー病)は1900年代前半にこの病気について報告をしたアメリカの整形外科医、ジェームス W. セーヴァーに由来しています。正式名称は「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」といいます。
成長期の子供のかかとには、骨が成長していく部分である、踵骨軟骨(成長軟骨、骨端線)があります。その先に踵骨骨端核があります。

この踵骨骨端核にアキレス腱が付着しています。セーバー病は、そこに運動によりアキレス腱の引っぱる力が持続的に加わることで、踵骨骨端核がはがれたり、その手前の踵骨軟骨(成長軟骨)に炎症が起こっている状態です。
セーバー病の症状
①運動時(運動後)のかかとの痛み。走ったり、ジャンプなどで痛みが強くなる場合があります。軽症では、運動開始時に痛みを感じ、体が温まってくると楽になります。
②かかとが少し腫れたり、熱を持つ場合があります。
③かかとを押すと痛みが出ます。(圧痛)
④痛みにより、つま先歩きをする場合があります。
セーバー病になりやすいタイプ
〇10歳前後のスポーツをやっている男子(女子も発症しますが男子のほうが多い)
〇足のアライメント(骨や関節のならび)異常・・・扁平足・内反足・外反足など
〇靴底がすり減った靴やフィット感の悪い靴
セーバー病になってしまったら
〇運動制限が必要です・・・運動量を減らしたり、痛みが強い場合はしばらくの間、運動を休んだ方が良いでしょう。
〇運動直後はアイシングをしましょう。その後はお風呂などで温めます。
〇クッション性の高い靴のインソールやヒールカップ(かかとを保護するクッション)が有効です。
運動復帰はいつから?
運動制限をしてから、1~2ヶ月で運動へ復帰できることが多いです。しかし、その後また痛みが出てくる場合があるので、日頃からアキレス腱と足裏のストレッチを欠かさないようにしてください。
治るまでには1~数年と長くかかる場合が多いのですが、痛みがない時期もあります。
痛みがある場合は、治療することにより軽減します。
踵骨軟骨は15歳頃までには閉じてしまうため、これ以降に発症することは基本的にありませんし、後遺症を残すこともありませんのでご安心ください。
治療
物理療法・・・低出力超音波治療、電気治療(低周波治療器)
手技療法・・・ふくらはぎ、足裏のマッサージ
ヒールカップなどの装具が必要な場合はご提案いたします。

セーバー病の痛みが起こる原因を、スポーツ指導者や親御さんが理解し、早期に適切な治療や指導を行う必要があります。というのも、セーバー病は何度も再発する可能性があるからです。
また、スポーツに携わる子供たちにとって、長期的な運動制限は、身体能力の低下やモチベーション低下など、精神的な影響を及ぼす場合もあります。
子供の痛みや異変を感じましたら、出来るだけ早くご相談ください。