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交通事故

交通事故による体の痛み~vol.2「頸椎捻挫」「外傷性頚部症候群」「むち打ち症」

#外傷性疾患

10年以上前ですが、私も「むち打ち症」になった事があります。痛めた瞬間は首に「ズキッ」という感覚が走り、「これはまずい」と不安がよぎりました。その後「首を動かすと痛い」という感覚は以外にも短期間(約4週間)で治りました。
ところが負傷して3日後位から、首や肩関節を少し大きく動かすと、瞬時に首から肩にかけての筋肉が強烈に収縮し、固まっていくような感覚を感じるようになり、痛いという感覚はそれほどないのに、冷や汗が出るほどの凄まじい不快感を毎日何回も経験する事になったのです。そしてこの感覚が無くなり治るまでに要した期間はなんと約13カ月間でした。
現在は違和感もなく過ごしていますが、6カ月目を過ぎた頃は「治らないかもしれない」などと様々な事を考えていました。今思い返してみると、ある時期からセルフエクササイズを始めた事が非常に良い影響があったと感じています。その内容も含めて、「むち打ち」に関してお話をさせていただきます。

「首に急激な衝撃が加わり、ムチを打った時のように首がしなり頭が揺さぶられる状態」これにより、首や背中に痛みを感じたり、その他様々な障害を引き起こす外傷(けが)です。

症状が多岐にわたるため4つの分類がありますので、項目ごとに見ていきましょう。

むち打ち症の70%~80%を占めるとされ、衝撃により首及び上背部を構成する筋肉、靱帯、椎間関節を損傷し、下記の症状を主とするものです。

〇頭痛
〇首や肩(上背部)の痛み
〇痛みによる首の運動制限

症状は事故直後に出る場合と数日後から自覚する場合があります。
一般的に安静期間は数日~1週間程度が推奨されています。過度な安静は症状を長期化させる可能性があるため、無理のない範囲で普段通りの生活や仕事を行う方が良いと言われています。
リハビリを開始して2~3カ月程度で急速に改善する方が多いのですが、その後も初期ほどの痛みではないのですが、鈍痛や違和感が続く方もいらっしゃいます。
痛みが軽減してきたら、ラジオ体操程度の軽い全身運動や、ウオーキング、首を動かす練習など、無理のない範囲で体を積極的に動かしましょう。

脊髄から左右に分岐し、腕や指先まで伸びる神経の根本(神経根)が圧迫されて出現する症状です。

〇肩甲骨~肩~上肢にかけての(または一部)痛み痺れ知覚障害筋力(握力)低下深部反射の減弱が見られます。
〇せき、くしゃみや首の大きな動き等で症状が増悪します。
〇スパーリングテスト、ジャクソンテストというテスト法で陽性になります。

このタイプは比較的多く見られ、リハビリの内容が頸椎捻挫型とは異なってきます。
当院では毎月握力測定などを行い、筋力低下や知覚異常の有無を確認します。
多くの方が2~4カ月程度で症状改善するのですが、6カ月を経過しても痺れなどが残存する場合もあります。病院でのお薬が必要な方も多いので、病院への定期的な通院が必要です。

頚部交感神経および椎骨動脈が障害され発生すると言われています。
事故後(負傷後)すぐに症状が現れる方もいらっしゃいますが、2~4週間後に発症する方が多いとされています。症状は多彩で、自律神経失調症に似た症状が見られます。

①耳、眼、頭・・・耳鳴り、めまい、眼のかすみ、難聴、頭痛

②体幹・・・首肩こり、背部痛、腰痛

③内臓・・・吐き気、食欲不振、腹痛、下痢、便秘

④その他・・・脈の乱れ、息苦しさ、喉の違和感、嚥下困難、上肢のしびれ、疲労感、脱力感

このタイプは多くはないのですが、もしこの症状が見られる場合は慢性化することも多いと言われるため、注意が必要です。定期的にリハビリを継続することが症状改善の近道です。
当院では「立体動態波」を用いて自律神経調整を行い、状況により鍼治療を行う場合もあります。
多くの方が3カ月前後で改善します。

脊髄そのものを損傷するタイプです。歩行障害や排尿障害、手足のしびれや感覚異常などの重篤な症状が見られます。脊柱(背骨)またはその周囲の既往症(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症など)があるとリスクが高くなるとされています。
専門の病院で治療してください。

上記4つの分類のうち、脊髄型を除いたものが当院での治療対象となります。

Q:湿布は温湿布と冷湿布がありますがどちらが良いですか?A:どちらを使用しても悪化することはありません。症状緩和につながるので楽になる方を選択してください。

Q:自分で出来るセルフエクササイズはありますか?A:はい。
まず、痛みの出ない範囲で首や肩関節を動かす事から始めてみてください。
そして、痛みが出ない動きを確認したら、その範囲内でしっかりと運動をしていきます。運動は体操や筋トレ、ウオーキング、ストレッチなど、何でも構いません。また、「痛みは出ないが筋肉が緊張(収縮)してくる」という方は、最初は短時間で運動し、筋緊張が回復したら後日、運動時間を少し増やすといった具合に焦らずに少しずつ時間と強度を上げていってください。
強い痛みが緩和してきたら、体を出来る範囲で動かしてあげることが重要なポイントです。

Q:事故後すぐにマッサージをするのですか?A:いいえ。
マッサージの効果として、筋肉の緊張を和らげたり、血流を改善したりすることで動かしづらさや痛み改善させます。しかし、受傷後日数が浅い時期は炎症がある場合が多く、マッサージによって症状が悪化することが考えられます。痛みの程度、症状及び事故の状況などを考慮して、マッサージを始める時期を決定していきます。

Q:どんな治療法があるのですか?A:むち打ちには前述の通り様々な症状がありますので、症状に合わせて治療内容も大きく変化します。大きく分けて「物理療法」、「手技療法」、「鍼灸治療」の3つに分かれ、治療効果を引き出すために組み合わせて治療していきます。

〇物理療法・・・電気治療、温熱治療、超音波治療、牽引治療など
〇手技療法・・・マッサージ、運動療法、ストレッチなど
〇鍼灸治療・・・はり、お灸を使用した治療

Q:通院頻度の目安はありますか?A:はい。
1週間に3回のリハビリをご提案しております。
もちろん症状の程度により多少前後することもあります。「週3回は通いきれないかも」と感じる方もいらっしゃるのではないかと思いますが、後遺症を出来るだけ残したくないという要素と、早期改善を目指すための頻度です。あくまでも目標として考えていただければよいと思います。

交通事故に遭うことはそれほど多くないと思います。したがって知らない事も多くあるかも知れませんね。
当院には数多くの事故に遭われた方々が通院されています。毎日のように様々な質問を受けています。
我々も治療以外の部分で少しでもお手伝いできればと、的確に回答できるよう努めております。
お体の事や保険の事をはじめ、わからないことは何でも我々に質問してみてください。不安が解消するかもしれませんよ。

この記事の著者

北城 雷太

あおぞら整骨院・鍼灸院院長
柔道整復師

あおぞら整骨院・鍼灸院を開院する前は、東京の整骨院にて分院長を務めさせていただいておりました。その後三島にて開院し15年目を迎えております。この間、様々な経験をさせていただき、また現在の治療にこの経験を生かすべく、日々精進しております。
この15年間で世界は驚くほどに大きく変化してまいりました。同じように、健康に対する考え方、医療の分野でも大きな変化(進化)がみられます。我々治療家も、日々多くのことを学び成長しなければなりません。進化してこそ、患者様の痛みを効率よく取り除けると私は信じています。

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